基本編⑦ レンジブレイク

基本編⑦ レンジブレイク


前回はダブルトップ、ダブルボトムについて学びました。

押し目買い、戻り売りに並ぶセオリー的な値動きです。

2つの波を同時に考える必要があり、少しややこしかったですよね。

 

今回は、また別のセオリー的な値動きのお話で、

「レンジ」と「レンジブレイク」についてです。

 

レンジブレイクも、後から2つの波を使った解説が出てくるので

頑張って付いてきてください。

 

レンジブレイク

レンジについては基本編④で少し触れました。

 

買いたい人と売りたい人のバランスが拮抗することによって、

一定の値幅で上昇と下降を繰り返すレンジが生まれます。

 

どの時間足でもレンジは発生するので、レンジの値幅はまちまちです。

 

よくあるレンジのイメージですが、例えばこんな感じです。

上からの下降波の戻り売りをしたい勢力と

下からの買い勢力が拮抗している状態です。

 

この黒の波が5分足だとすると、

このようなレンジは1日に何度も発生します。

 

この黒の波が4時間足だとすると、

それなりに長時間のレンジで、上下の値幅もあるでしょう。

 

4時間足のレンジの部分を5分足で見てみると

こんな風になっていたりします。

レンジの中は、大枠の値幅はわかりやすくても、

方向感が無いためこのように乱高下しやすいです。

 

この中のトレードはいかにも難しそうですよね。

 

例に挙げたレンジは四角いボックス型のレンジですが、

いろいろな形でレンジは発生します。

 

下のような三角形のレンジを「三角持ち合い」と呼んだりします。

下のような下降トレンドの途中に現れる形を

フラッグ」と呼びますが、これもレンジの一種です。

下のような波の転換部分に現れるレンジは

ダブルトップと同じ理屈で発生しています。

 

売り買いの拮抗、という視点で見れば

ダブルトップの天井部もレンジの一種と言えます。

2つのレンジが向かい合わせになって

大きなレンジと化す場合もあります。

 

要は、売り買いが拮抗しているところ、

言い方を変えれば「攻防しているところ」はすべてレンジです。

 

このように様々なサイズや形となってレンジは出現しますが、

形を覚えていても意味はありません。

 

肝心なことは、

「どこからの売りと、どこからの買いが攻防しているか」です。

そして、それを事前に察知する相場観を養うことです。

 

次の図を見てください。

紫のラインは黒の波よりも大きな時間足の抵抗です。

図の左側より下落してきた波を反転させています。

 

赤のラインも黒の波よりも大きな時間足の戻り売り候補です。

黒の波はダブルトップとなり、下降トレンドになりました。

 

この時、紫のラインと赤のラインの強弱がはっきりしていれば

その後の値動きも分かりやすいものになりやすいです。

 

逆に、紫のラインと赤のラインの強弱がはっきりしない場合、

紫のラインからの買い勢力と

赤のラインからの買い勢力の

攻防に決着がつくまでレンジとなります。

 

相場は、常にあるラインとラインが攻防しています

そういう意味では常にどこかのレンジの中、

とも言えます。

 

今はどのラインとどのラインが攻防中なのか、を

常に意識することで、レンジになる前から、

ここは攻防する位置で、レンジになるかもな

ということが想定できるようになるのです。

 

レンジブレイク

レンジは買いと売りの攻防、ということがわかりました。

 

これは、言い換えると買いポジションと売りポジションが

決済されない状態で「溜まっている」ことを意味しています。

 

上がると考えて買った人は思うように上がっていかず、

下がると思って売った人も思うように下がらない。

 

レンジに捕まってしまった」という状況です。

 

また、視点を変えて、ポジションを持っていない人の

気持ちを考えてみましょう。

 

買うべきか売るべきか悩んでいる、

またはタイミングを図っている人たちです。

 

この人たちがポジションを持つ決断をするのが、

「売り買いの攻防に決着がついた時」です。

ポジションが溜まったレンジが崩れるとき、

その反対のポジションを持っている多くの人は

(上図の場合、買っていた人)

損切りの売り注文を入れます。

結果、勢いのある下落につながります。

 

また、攻防の決着を待っていた人たちが、

新規の売り注文を入れることで

さらに下落の勢いが増します。

 

これがレンジが崩れるときの特徴的な値動きで

レンジブレイク」と呼ばれたりします。

 

レンジブレイクは大きな利益を狙えるので

狙えるなら積極的に狙っていきたい値動きですが、

一般に「ダマし」と呼ばれる値動きもあります。

 

例えばこういう値動きです。

 

「レンジを下に抜けた」と思ったら抜けない、

そして逆行。こういう値動きもよくあります。

 

レンジを下抜けた、と判断した新規売り注文を入れた人は、

「やっぱり抜けなかった」という事実を見て

慌てて損切の買い注文を入れます。

 

また、「ダマし」を想定していて

「抜けなかった」事実を確認し、新規の買い注文を入れる人もいます。

 

その結果、反対方向に値が伸びていくのです。

 

では、レンジブレイクが成功するか、はたまたダマしに終わるかは、

結果論で、終わってみないと分からないのか?というと、

その疑問には上位の時間足の状況による」という回答になります。

 

ここからは、ダブルトップの時と同様に

2つの波を同時に考えてみます。

 

仮に、黒の波を1時間足の波、青の波を日足の波だとします。

黒の波は上昇トレンドを描き、青の波の節目(戻り売り候補)まで

上昇し、レンジになっています。

 

このレンジは、黒の波を上昇させてきた買い勢力と

青の波の戻り売りを狙う売り勢力の攻防です。

 

この状況だけを見ると、単純に大きな波である青の波、

「売り勢力が勝つのでは?」と考えられます。

 

レンジをした方向にブレイクする分には、

わかりやすく「レンジブレイク」を狙えるでしょう。

 

逆に、レンジを上方向にブレイクした場合は、

ダマしになりやすいです。

こんな風に「ダマし」になる可能性があります。

 

要は「上位足の流れに逆らったブレイク」は

ダマしになる危険がある、ということです。

 

同じような状況ですが下図の場合も考えてみます。

緑色のラインは週足のラインだとします。

日足よりも大きな波の影響で上昇してきたため、

レンジを上方向にブレイク後、

結果的には日足の抵抗も上抜いていきました。

 

もし、レンジを下方向にブレイクしていたとしても

ダマしになっていた可能性がありますね。

 

 

ダブルトップ、ダブルボトムと同様に

レンジブレイクも、ある波の未来の動きを

その背景である上位時間足の波を使って想定します

 

これが波を同時に見るということで、

その他のあらゆる値動きに共通して言えることです。

 

5分足や15分足のような短期の時間足だけを見て、

思わぬ逆行を食らってしまった…

 

1時間足の急落に飛び乗ったらレンジに捕まってしまった…

 

これらの原因の多くは

上位の時間足の状況を見ていない、

上位の時間足の状況の「解釈」が間違っている、

ということがほとんどです。

 

それが難しいのであって、

それができれば苦労はしないのですが…。

 

過去チャートを遡って見てみたり、

日々のチャートも複数の波を意識して見てみてください。

 

どんな素晴らしい理論を身に付けても、

的確なアドバイスがあっとしても、

地道な自身の経験の積み重ねはどのみち必要ですから。

 

少し長くなりすぎましたが今回は以上です。

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