環境認識編⑤ 移動平均線

環境認識編⑤ 移動平均線


前回までに、水平ラインとフィボナッチリトレースメント、

斜めに引くラインをご紹介してきました。

 

今回のお話は移動平均線について、です。

 

おそらく世界で最も使用されているであろうインジケーターです。

知っている方も多いと思いますが、

あらためて使い方をご説明します。

 

移動平均線とは

移動平均線とは、「過去のローソク足の終値の平均」を線で結んだものです。

 

移動平均線を表示する時に期間を設定しますが、

例えば「20期間」に設定すると

「過去20本分のローソク足の終値の平均」から算出されます。

 

価格が移動平均線よりも上にあると、

過去の平均値よりも高い価格を推移している、

ということがわかります。

 

このブログでは期間20の

「単純移動平均線」としてお話をすすめます。

(移動平均線にも種類があってもっともポピュラーなもの)

 

また、移動平均線を略してMA(Moving Average)と言い、

20期間のMAのことを20MAと表します。

 

それでは移動平均線の使い方を見ていきましょう。

 

相場の方向感を見る

移動平均線は過去の値動きの平均なので

移動平均線を見れば

今がどのような相場環境かがわかります。

 

右肩上がりに伸びていれば上昇中、

右肩下がりなら下降中、

水平になっていればレンジ

 

ざっくりこのような認識で大丈夫です。

 

下のチャートをご覧ください。

15分足のチャートですが、右肩上がりの状態です。

値動きが急なほど、MAの角度も急になり、

ロウソク足とMAが乖離していきます。

 

ちなみにオレンジのラインが15分足の20MAで、

青が1時間足の20MA(15分足の80MAと同じ)

ピンクが4時間足の20MA(15分足の320MAと同じ)

となります。

 

このように違う時間足のMAを同時表示すると

各時間足の情勢がなんとなく見えてきます。

 

もう1つ別の場面を見てください。

移動平均線の向きも順番もバラバラで、

値動きも乱高下して方向感がありません。

 

こういう相場ではトレードしないに限ります。

 

パッと見ただけでそういう判断がしやすいのは

MAのいいところですね。

 

MAの角度で相場の方向感、勢いの強さがわかる

 

斜めラインのように機能する

MAはインジケーターですが、

トレンドラインのように

トレンドを支える役割を果たすことがあります。

 

下のチャートを見てください。

〇を付けた位置やラインを引いている部分で

トレンドが支えられているのがわかりますね。

 

そして、下位足のMAを上抜いても

次の上位足のMAに止められ、

その上位足のMAを上抜いても

さらに上のMAに止められ…

 

各時間足で下降トレンド中の戻り売りの目安になっている、

下から買ったトレーダーがMAを目安に利益を確定する

 

MAが意識されていることがわかります。

 

特に一度反発したMAは次のタイミングでも反発する傾向があります。

 

この性質が分かっていれば

以下のような使い方が思い浮かびます。

 

水平線と併用してエントリーに使う

上位足のMAに向かっての注文を避ける

MA抜けを利益確定の目安に使う

 

また、MAと乖離しすぎた価格は

MAに戻ろうとする値動きになりやすいです。

平均に戻ろうとする力が働くのは自然の摂理ですね。

 

このことから、MAから離れすぎたチャートを

深追いする危険性もわかります。

 

逆に言うと、トレンド発生中は

MA付近からのエントリーが

安全で簡単に利益を伸ばせるともいえます。

 

MAひとつからいろいろな情報が読み取れますね。

 

水平線と併用してエントリーに使う
上位足のMAに向かっての注文を避ける
MA抜けを利益確定の目安に使う
MAから乖離しすぎると戻ってくる

 

動き出しのタイミングを図る

よく言われることですが

相場は「収縮と拡散」を繰り返しています。

 

レンジとトレンドと言い換えることもできますし、

トレンド中の推進波と調整波の関係も同じです。

 

要は、注文の堆積と、堆積した注文の開放が

このような緩急のある値動きにつながっています。

 

そして最もトレードが簡単で利益も出しやすいのが

「拡散」の時です。

 

拡散が始まるタイミング、

つまり相場が動き出すタイミングを捉えるのが

上手なトレードの方法であり、

このブログでこれまでに紹介してきたことも

そのための知識です。

 

押し目買いも

「押し目という収縮」から拡散するタイミングを狙います。

 

ダブルボトムも

「底値圏での収縮」から拡散するタイミングを狙います。

 

これらの基本的なチャートパターンで

拡散のタイミングを図る際の

MAの使い方をお話ししたいと思います。

 

下のチャートを見てください。

1時間足の波が下から上がってきており、

下降トレンド中である上位足の抵抗のラインで

ダブルトップを作っている場面です。

 

水色のラインは20MAです。

 

波のサイズの間隔が身についていない初心者トレーダーは

この後の値動きについて次のようなイメージを持ってしまいます。

ダブルトップを根拠に波が反転するイメージですね。

 

考え方は間違っていないのですが、

1時間足の波が上位足の抵抗にぶつかって反転を始めるまでの

時間間隔が身についていないんですね。

 

MAを見るとかなり急激に方向を変えています。

 

もちろんそういう時もあるのですが、

オーソドックスな値動きとは言えません。

 

実際には次のようになることが多いです。

先ほど認識していたダブルトップ(オレンジボックス)では

うまく下がりませんでした。

 

その後、右側にも小さいダブルトップができて

それから値が下がり出しています。

 

一回り大きなダブルトップ(紫ボックス)をイメージしておいて

右側のオレンジのダブルトップでエントリーできればベスト

という場面だったわけですね。

 

さて、MAの動きですが

下からの右肩上がりの上昇の後、

だんだんと上昇の勢いが弱まり

横向きになってから価格がMAを下抜き、

そして下がり始めています。

 

MAにはこのような形で「収縮と拡散」があらわれます。

 

これを知っているだけで、

右肩上がりのMAよりも上にできた小さなダブルトップが

波を反転させるイメージを持つことは無くなりますよね。

 

本当はダブルトップのサイズ感や

上位足の状況から波を予測できれば一番良いのですが、

その感覚をMAで補強することができます。

 

もちろん絶対にこうなる、というわけではないですが、

余計な負けトレードを減らせるとすれば

それだけで役に立つことだと思います。

 


MAも斜めラインと同様に、

単体で過信しすぎるものではありませんが、

上手に使えばとても便利なものです。

 

ちなみに私は20MAを使用していますが

21とか25とかを使用しているトレーダーも多いようです。

 

どの数値が一番機能しやすいか、

という論争をよく耳にしますが

実際にはなんでもいっしょです。

 

いくつに設定しても、機能する時としない時があって

機能しているときだけ使えばいいんです。

 

最後に、

本記事の初めの方に使用したチャート画像内で、

「複数の時間足の20MA」を同じチャート内に表示しています。

 

期間設定の仕方をご紹介しておきます。

例えば、1時間足に日足の20MAを表示したいとき、

日足はつまり「24時間足」なので1時間足の24倍ですよね。

なので    20 × 24 = 480

 

1時間足で480期間のMAを表示すれば日足のMA相当のMA、

ということになります。

 

ご参考までに。

 

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