環境認識編② 水平ラインを引く 後編

環境認識編② 水平ラインを引く 後編


前回は、水平ラインを使って長期足から順に「環境認識」をやってみました。

 

前回引いた水平ラインは、

〇〇年の高値、

週足、日足の高値、安値

キリ番  など

世界中の誰もが同じ位置に引けるライン」でした。

 

多くのトレーダーが同時に意識するからこそ

そこで値が反応します。

 

今回引いていく水平ラインも、

できるだけ誰もが引くところに引きたいのですが、

世界のトレーダーはどういうところを意識しているでしょうか。

 

順に見ていこうと思います。

 

押し安値、戻り高値に引く

現在の相場が上昇中なのか下降中なのか、

どこラインを抜けると方向が変わるのか、

 

多くのトレーダーはダウ理論を軸に考えています。

 

つまり「押し安値」「戻り高値」の位置は、

全トレーダーにとって非常に重要視されるものです。

 

実際のチャートで見てみると、

 

全体としてはオレンジの波が上昇していく相場です。

オレンジの波のワンサイズ小さい波である緑の波が、

ダブルトップを形成しました。

 

緑の波はネックラインを下抜くことによりダブルトップを完成させました。

これにより、一旦下降目線に切り替えたトレーダーもいることでしょう。

 

しかし緑の波の「上昇トレンドが終わった」と完全に判断されるのは、

赤ラインの「押し安値」を抜けてからです。

 

押し安値付近でもみ合いを作っており、

意識されていることがわかります。

 

結果、押し目買いが成立し価格は再び上昇を始めました。

 

このように、はっきりと分かりやすい押し安値や戻り高値ほど

世界から意識されます

 

そういうラインが抜けるにせよ、抜けないにせよ

その後の値動きも分かりやすいものになりやすいです。

 

「このラインでの攻防はこっちが勝ったな」というのが

誰の目にも明らかですからね。

 

反対に、押し安値や戻り高値が分かりにくいこともあります。

波の形が乱れていて、「このラインとこのラインどっち?」

というような場合です。

 

そういう時は、世界中で同じように思われています。

値動きもはっきりしないものになりがちです。

 

大切なのは「この場合はこっちのラインでしょ」と勝手に決めることではなく、

「どこが押し安値(戻り高値)かは世界も迷っている」という認識をもって

相場に臨むことです。

 

すべてにラインを引いておくのもいいですし、ラインの色を変えるのもいいでしょう。

ラインではなく、「エリア」として幅を持たせるのもいいと思います。

 

自分都合のラインではなく、客観的にありのままの解釈をすることが大事です。

 

波の高値安値に引く

こんどは、押し安値ではなく高値側、

または戻り高値ではなく安値側にもラインを引いてみます。

 

実際にチャートで見てみます。

 

 

現在値が、チャート前半部分、緑の波の途中だとします。

 

緑の波を見ると、上昇トレンド中で

高値を付けて一旦下落してきた局面です。

赤ラインは太い緑の波の安値で、押し安値でもあります。

オレンジのラインが高値ですね。

 

このようにラインを引いてみると、

太い緑の波の「中」にいることが分かります。

 

「今どの波の中にいるのか」が視覚的にも分かりやすいですよね。

 

この波の中だけを限定してみると、この高値と安値が

「最も強いライン」ということになります。

 

この波の中で発生する他の波は、

必然的に太い緑の波より小さいサイズの波ですよね。

 

このラインさえあれば、とりあえず

「このラインまでのトレード」を目的とできます。

 

なかなか高値を抜けずにレンジ相場になった時にも

非常に有効なラインとなります。

 

ラインを抜ければ、新たな波が生まれたということになり

「次の波の中」のトレードが始まります。

 

次のチャートは、上のチャートと同じチャートです。

 

このように、直近の波の高値と安値にラインを引いておくと

「今どの波の中なのか」を常に把握できるし、

「その中でいかにトレードをするか」を考えられるわけです。

 

 

 

波の節目に引く

波の高値、安値にもラインが引けました。

 

押し目買いや戻り売り、または決済注文の目安にされやすい

「波の節目」にもラインを引いておきましょう。

 

これも実際のチャートに引いてみます。

 

このような形で「節目」のエリアは意識されやすいです。

 

トレンド中は節目の下限ラインは押し安値、戻り高値になっていますしね。

 

値が反応して、その後どうなるか、

または、そもそも反応するのか、

は上位足の状況にもよりますが、

 

波の方向性がはっきりしているなら、

節目内の値動きは要監視しておくべきでしょう。

 

急騰、急落の起点に引く

時に相場は急激な値動きを見せます。

 

損切りを巻き込んで急騰、急落したり、

重要な経済指標の発表などで大きく値が動いたり、

突発的なニュースが原因ということもあるでしょう。

 

そういう急な値動きの「起点」となるレートは

世界のトレーダーから意識されることになります。

 

オレンジで〇を付けたところが急騰の起点です。

 

この急騰をきっかけに緑のダブルトップを崩していきました。

高値を更新した「強い値段」であることがわかります。

 

こういう強い価格に値が戻ってくると、

利益確定や逃げの決済注文、逆張りの新規注文で

チャートは反応を示すことが多いです。

 

必ず反発するというわけではなく、

「そのレートをめぐってどのように攻防に決着がつくか」

という目線で注目するのがいいと思います。

 

値が止まれば買い、抜ければ売り、

というように目線の基準にもなるわけですね。

 

このチャートはドル円で、2016年のトランプ大統領選出によって

10円ほどの暴騰となりました。

 

3年以上が経過し、価格が戻ってきたときに

見事に意識されているのがわかりますね。

 


 

今回はいろいろなラインの引きかたを紹介しました。

 

今回のラインの引きかたは環境認識のお話なので、

短期の時間足チャートに引く必要はないです。

 

チャートがラインだらけでごちゃごちゃになってしまっては

本末転倒ですから。

 

紹介したラインの引きかたは

どれも重要ではあるのですが、

ここも、ここも、と引けそうなところに

引きまくるのではなく、

 

本当に重要なのは

「そのラインをめぐる値動きを見極めること」です。

 

ライン付近での短期足の動きを見て

トレードを行う必要がありますし、

 

そのラインを抜けたことで相場はどうなるのか

そのラインを抜けなかったことで相場はどうなるのか

 

という視点でチャートを俯瞰する必要があります。

 

あくまでトレードがやりやすいように引くラインですから

直近の値動きに関係するところだけ引けば十分です。

 

慣れてくると簡単にできるようになりますから、

これもやっぱり練習、ということですね。

 

 

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